まったくの未経験・ゼロスキルからNFT取引できた経験を活かし、これからNFTを始めてみたい方にもわかりやすく丁寧に解説していきます。
本記事は筆者である私が700以上のNFT取引を経験してきた実績をもとに、NFTアートの著作権に関する内容を実際のNFTプロジェクトを見ながら解説しています。
ファンアートと二次創作の違いや、NG行為についてもまとめています。
NFTアートを作る人だけでなく売買する人も、気がついたら法律を犯していた・・・とならないようにぜひ最後まで一読してください。
NFTアートの始め方5stepにてNFTの始め方をまとめていますのでそちらも是非参照してみてください。
NFTと著作権問題の関係は?
NFTアートに関する著作権を解説する前にNFTアートと著作権・所有権について再確認しておきましょう。
以下で解説していきます。
NFTアートの基本知識
NFTを一言で説明すると、デジタルデータに『本物・オリジナル』と偽造できない履歴証明書がついたもの。
NFTアートは『デジタルアート』にNFTの技術が紐づいたもので、いつでも誰でも国境も関係なく24時間365日売買できます。
NFTアートは発行数が限られていることから、欲しい人たちによって価格が決まる特徴があります。
知識ゼロから学ぶ|NFTアートが生んだ4つの革命的な仕組みを解説にてより詳しく解説しています。
NFTの著作権に関する問題
NFTアートが流行した2022年はこの著作権が大きな問題になりました。
なぜならNFT分野は法整備が間に合っていないため明確なガイドラインが不明だったから。
購入したNFTアートを自由に二次創作したり、改変したりと違法状態。
特にデジタルアイテムは簡単にコピーや改変されてしまうため、NFTアートでも同様の事態に陥りました。
NFTを販売したら著作権はどうなる?
結論を先に言うと、NFT販売しても著作権は作者に残っています。
NFTアート購入者は作品の購入=所有権のみとなり、NFTアート作品自体の著作権は取得しません。
え?どう言うこと?
下記で著作権と所有権について解説していきます。
著作権(Copyright)とは?
著作権とは著作物が創作された時点で自動的に発生する権利のことを指します。
具体的には自分が創作した著作物を無断でコピーされたり、インターネット等で勝手に利用されない権利。
著作物を無断コピーしてインターネット上に掲載したり著作物を改変すること、既存の著作物と類似した作品作成する行為などは著作権侵害となります。
また著作権侵害していると認知した上で利用することも著作権違反となります。
著作権は英語で『Copyright:コピーライト』と呼ばれ、著作権のありかを主張するものとして使われています。
創作した人の権利が守られているのが著作権ですね
所有権(Ownership)とは?
一方所有権は特定の物を自由に使用・収益・処分できる権利のことを指します。
具体的にはアートや音楽といった「作品」を自由に使用していいよという権利。
例えばクリスチャンラッセンや草間彌生氏といった作品やカレンダー、絵葉書を購入した場合は各々の所有権を購入したことになります。
所有権は英語で『Ownership:オーナーシップ』と呼ばれ、作品や不動産など所有している状態を指します。
物品を購入した人の権利が守られているのが所有権ですね
それぞれ権利は別に存在している
では先述した絵葉書やカレンダーを購入した場合、著作権は手に入るでしょうか?
結論を言えば『ノー』ですよね。
手に入れたのは所有権であり、購入した作品を自由に使っていいことから自宅で使ったり欲しい友人に譲ったりはOK。
しかし購入した作品をコピーして配布や販売すること、作品を改変する行為は著作権違反となります。
購入者=所有権だが著作権はない
あくまで購入した作品に対する使用権となる所有権を手に入れただけであり、著作権は作者にあるからです。
著作権と所有権はリアルなものだけでなく、デジタルアイテムも同様。
音楽や映画の一部を切り取ってYouTubeで流したり自身のSNS投稿に利用するのは『著作権違反』に該当します。
これはNFTでも同様で、購入した作品であっても改変や表面の画像複製は『著作権法違反』となります。
法律の範囲はNFTアートも同じ
リアルなアイテムであっても、デジタル・NFTであっても基本的には著作権や所有権は同じです。
法律で禁止されている行為はアイテム問わずリアル/デジタル/NFT関わらずNG。
NFTの特徴である二次流通に関して言えば、所有権を有しているためなんの問題もありませんよ。
本質さえおさえておけば、こんな時どうしたらいいんだろう?となった時も比較的わかりやすくなりますね!
NFTの著作権侵害となる事例
ここでは実際に起こり得るNFTアートの著作権侵害事例について深掘りしていきます。
それぞれ解説していきますね
NFTアートの不正利用
NFTの危険な利用方法として、NFT作品の不正利用が挙げられます。
例として下記のものが不正利用に該当します。
もちろん例外(後述します)もありますが、基本的にはNFTの所持に関わらずすべてNG行為です。
著作権はリアルもNFTも同じ
繰り返しになりますが、リアル/デジタル・NFTアイテム問わず著作権は適用されます。
著作物の権利は著作者が所有しているため、勝手な改変は著作権法違反に該当。
NFTアートの加工や二次創作・グッズ制作も基本的に『勝手な改変』にあたるためNG。
特にデジタル作品は加工が容易なため、つい侵害してしまわないように注意してください。
他人の著作物を勝手にNFT化
NFT界隈で多く見られる違法行為として、勝手に他人の著作物をNFT化して販売することが挙げられます。
NFT化する前のアイテムの所有は証明されているケースが少なく、勝手に盗用してNFT化するケースが海外を中心に多く見受けられます。
またNFTコレクションを発売した直後に、偽物コレクションが発売される事態もありました。
上記は実際にあった本物の画像やディスクリプションをコピーした偽物コレクションで、発売当日に作成されています。
NFTが紐づいてようやく履歴が分かる
例えばNintendoが生み出したキャラクター「マリオ:Mario」の著作権はNintendoにあり、勝手に使うことは著作権法違反となります。
しかし(恐らく)違法画像を転用する形でNFT化されて販売されており、マリオ以外の有名キャラクターでも同様に販売されています。
マリオ=Nintendoという著作権が明確な場合もありますが、著作権が曖昧な作品の場合もあり、パッと見ただけでわからない場面も。
NFT化された段階から初めて履歴が分かるため、NFTになる前の著作権は誰が持っているのか気にする必要があります。
著作者以外のNFT化は危険
上記で解説した通り、著作権法違反はリアル・デジタル/NFT問わず適用されます。
NFTとして誕生する以前のデジタルアイテムに関しては、一部の著名な作品以外は分かりません。
そしてリアル/デジタル・NFT問わずすべての著作物には著者・著作権が存在しています。
ここで取り上げた偽マリオに関しても著作権法違反なので決して購入しないようにしてくださいね。
NFTとリアルグッズ同時販売について
NFTとリアルグッズを同時販売するのはOKなのか?という疑問が見受けられます。
すでにリアルグッズ展開されている作品をNFTとして販売するのは問題ないのか?という疑問です。
リアルグッズとNFTの同時販売について考えてみましょう。
著作権よりも別の問題が隠れていますよ
NFTでもリアルグッズでも問題なし
結論から言えば、まったく問題ありません。
先述した通りリアルもデジタルもNFTも法律は同じ。
著作権利者がどこでなにを販売しても著作権を手放したことにはなりません。
アイテムを変えても適用される法律は基本的に同じです。
作品価値の希薄化に気をつける
ただしリアルグッズとNFTの同時展開は価値の希薄化が別問題として挙げられます。
NFTでもリアルグッズでも「いつでもどこでも買える」ものよりも「今ここでしか買えない」や「5,000点限定」の方が高い価値ありますよね。
アイテムがリアルでもNFTでもと多方面に展開されることにより、価値の希薄化につながる懸念が出てきます。
一方の数量絞り価格を上げ、もう一方では数量増やし価格を下げるなど戦略を立てないと共倒れしてしまうかもしれませんね。
例外的にNFT/リアル展開がNGとなる場面
NFTやリアルグッズでも展開できない場面もあります。
結論をいうと、所属事務所などとの契約がある場合です。
アイドルや芸能人が分かりやすいと思いますが、所属事務所がNGを出すケースはニュースでも見聞きしたことありませんか?
著作権が複数人いる場合は、全員の同意が得られないとアイテム問わず展開できませんので注意が必要です。
二次流通(セカンダリー)と使用許諾
二次流通(セカンダリー)と著作権使用許諾は結論を言うとまったく別物です。
著作権使用許諾は著作権者が著作権を有したまま、他人に当該著作物の利用(ライセンス)を認めることを指します。
購入した本をメルカリやブックオフで転売する時に著者や出版社にお金払いませんよね。
購入者である所有権を手放す行為が二次流通であり、リアル/デジタル/NFT問わず著作権使用には該当していません。
ファンアートと二次創作の違い
NFTアートの特徴でもあるファンアートと二次創作の違いは『動機』と『目的』です。
ファンアートと二次創作には上記の違いがあります。
一般的な目的も以下の点で異なります。
ファンアートは自らの気持ちを表現するためのツールであり、作成した作品は営利目的にはなっていません。
一方で二次創作はファンによる自発的は動機ではなく、時として仕事として受注することもあり営利目的とするケースが多く見られます。
ただ現状国内NFTアートの世界では、別々なものとして切り離されておらず同じようなニュアンスで使われています。
国内NFTプロジェクトにおける許諾範囲の違い
国内の代表的なNFTアート作品について、許諾範囲をチェックしていきましょう。
ここでは以下の4NFTコレクションについてみていきます。
以下で解説していきます
CryptoNinja
CryptoNinjaのガイドラインは以下の通り。
ファンアート | ◯ |
二次創作 | ◯ |
NFTの商業利用 | ◯ |
リアルグッズ展開 | ◯ |
CryptoNinjaはWeb3時代のIPを作るを目標としたNinja DAO発のNFTプロジェクト。
たくさんのファンアートや二次創作によって盛り上げて欲しいという狙いもあり自由に使えます。
実際にSTARTコミュニティからはCryptoNinjaを使った作品『CryptoNinja World』というNFTアートコレクションがリリースされています。
細かなガイドラインのみチェックしてぜひ作品を作ってみてください。
CNP/CryptoNinja Partners
CNPのガイドラインは以下の通り。
ファンアート | ◯ |
二次創作 | ◯ |
NFTの商業利用 | 要相談 |
リアルグッズ展開 | ◯ |
CNPもCryptoNinjaに準じたガイドラインとなっています。
CryptoNinjaは忍者という世界観もあり使い勝手が難しい反面、CNPは動物主体のキャラクターIPのため様々な箇所で使われています。
日本で最も売買されているNFTプロジェクトのため、条件確認の上一度確認してもらった方がいいでしょう。
LLAC(Live Like A Cat)
LLACのガイドラインは以下の通り。
ファンアート | × |
二次創作 | × |
NFTの商業利用 | × |
リアルグッズ展開 | × |
LLACはクリエイターであるうむ子氏が禁止しています。
保有しているNFTであっても個人で楽しむ(SNSアイコンにする)などは可能です。
LLACはリアルグッズ展開もされているため、リアルでもデジタルでも利用は禁止となっています。
APP
APPのガイドラインは以下の通り。
ファンアート | ◯ |
二次創作 | ◯ |
NFTの商業利用 | 一部制約あり |
リアルグッズ展開 | 要申請 |
APPはNFTの商業利用が一部制約あるものの展開していいとされています。
既にグッズ化されているキャラクターのため、リアルグッズ展開は要申請のため注意が必要です。
NFTアートの著作権問題はここを注意しよう
NFTアートの著作権問題は、以下の2点に注意しましょう。
【注意点1】まずは二次創作がOKかどうか確認しよう
NFTアートを始めるときに問題となるのは『二次創作』範囲がどこまで許可されているか?です。
二次創作がOKなコレクションであれば先行コレクションを「たたき台」として活用し、別の作品を作ることが可能。
注目集めに手っ取り早い方法ですよね
二次創作がOKとされていても、一部販売に制約等設けているコレクションもあるため検討する場合は必ず確認をとってください。
著作権は作品を生み出したクリエイターにあることをお忘れなく。
【注意点2】ボーダーラインはどこか?
二次創作がOKであってもどこまで二次創作が認められているか?は常にチェックしておきましょう。
二次創作OKとなっていても、作品を作った後で「これはダメです」と言われないように随時チェックしておきましょう。
もちろん例外もある
上記の国内NFTプロジェクトのようにボーダーラインが異なります。
そのため、CryptoNinjaでは二次創作OKでもLLACではダメというケースも多数あります。
特にCryptoNinjaは二次創作をはじめ幅広く商業利用を認めています。
他のプロジェクトも同様に活用していいとはなっていないのでご注意ください。
こんな使い方はダメ!事例
NFTアートでこんな使い方はダメという事例をいくつかピックアップしておきましょう。
作者や作品への敬意は絶対に必要ですよ。
NFTアート画像の勝手な加工
もっとも簡単に行われてしまうのがNFTアート画像の勝手な加工です。
なぜならNFTに紐づいている画像そのものは通常の画像同様、簡単にコピーができてしまうから。
あくまで偽造できないのは先述のとおり履歴書であり、画像そのものではありません。
気軽にできてしまうため、気がついたら著作権侵害していたとならないように注意してくださいね。
ファンアート作品の転用やNFT発行
ファンアート作品を転用などもNG行為。
例えば上記の作品画像を勝手にNFT発行するなどは無断転載・盗作・著作権違反です。
『ファンアート』という形でアップされていますが、ネット上の拾い画像も同様なので絶対にしないでくださいね。
公式が関わっていると思わせる行為
二次創作が許可された状態であっても、公式が関わっていると思わせる作品展開はNGです。
公式プロジェクトと誤認される可能性により、NFT購入者を混乱させてしまうからです。
具体的には以下のようなワードは使うのを控えましょう。
公式認可済
コラボ
パートナーシップ
二次創作であれば必ず『二次創作』と明記して展開するようにしましょう。
迷ったら公式プロジェクトに相談しましょう
エロ・グロ展開
二次創作が許可されていても決して行ってはいけないのがいわゆる『エロ・グロ』展開です。
なぜなら既存NFTプロジェクトのイメージを損なう行為だから。
二次創作はベースとなる作品を利用する行為であり、なんでも自由に作風を改変していいものではありません。
あくまで産みの親である著作者・プロジェクトへの敬意や配慮を忘れないように展開してください。
NFTアートと著作権についてよくある質問
NFTの著作権に関わるよくある質問をまとめてみました。
- NFTの所有者は誰ですか?
- NFTは著作権違反になる?
- NFTに所有権はないのですか?
- NFTの権利は著作権ですか?
- NFTアートは何で作るの?
- NFTデジタルアートの著作権は?
- NFTアートを購入する手順は?
- 絵をNFT化するにはどうすればいいですか?
一つずつチェックして疑問点を解消しておきましょう。
NFTの所有者は誰ですか?
結論を言うと、NFTアートを購入した人に所有権があります。
所有している方が二次流通で手放したら所有権も無くなります。
とはいえ所有権を持っているからといって、何してもOKという話ではありません。
NFTアートの運営・著作権保有者に確認しておきましょう。
NFTは著作権違反になる?
NFTは著作権違反にはなりません。
著作権が問われるのは以下の2点。
NFT化された後は偽造できない履歴がわかりますが、NFT化される前の元画像は分かりません。
既存有名IPはわかりやすいですが、それ以外の作品は誰が作成しているのかチェックしておきましょう。
NFTに所有権はないのですか?
結論を言うと、NFT購入した分の所有権はあります。
デジタルのNFTでもリアルのものでも購入したら所有権は購入者にあります。
ただし二次流通させた場合は手元にないためNFTの所有権は失われます。
NFTを『保有』していても別権利である『著作権』は所有していないので混同しないようにしてください。
NFTの権利は著作権ですか?
NFTアートを購入しても著作権はありません。
著作権とは著作物を制作した人に紐づく権利であり、所有者とは別です。
そのためNFTアートを購入しても著作権が一緒についてくるものではありません。
著作権はリアルもデジタルやNFTであっても売買されません。
NFTアートは何で作るの?
NFTアートの作り方は以下の通りです。
NFTアートの始め方5stepにデジタルコンテンツを制作する方法をまとめていますので気になる方は合わせて参照してみてください。
NFTデジタルアートの著作権は?
NFTの著作権はクリエイターに紐づいています。
NFTやリアルでも著作権は著作物を制作した人に紐づきます。
NFTアートを購入しても別権利となる著作権はついてきません。
著作権は制作者に紐づく権利であることを忘れないようにしてください。
NFTアートを購入する手順は?
NFTアートを購入するまでの手順は大きく5つ。
- 仮想通貨取引所の開設
- 仮想通貨(ETH)の取得
- メタマスクの導入
- メタマスクに送金
- NFT販売所で欲しい作品を選ぶ
NFT購入の始め方ガイドにて詳しく解説していますので参考にしてみてください。
絵をNFT化するにはどうすればいいですか?
デジタルアートをNFT化する方法は以下の5ステップです。
- デジタルデータを準備
- OpenSeaにメタマスクを接続
- コレクションページを作成
- データをアップロードしてNFT化
- 販売条件設定
NFTイラストの始め方5stepにて詳しく解説していますので参考にしてみてください。
NFTアートを始めるなら必ず確認しておこう
本記事の要点をまとめます。
NFTであってもリアルグッズであっても法律に基づいた行動が必須。
二次創作を活用してNFTアートを作成する場合はもちろんのこと、個人で利用する分にも正しい知識のもと利用する必要があります。
何より先行してNFT作品を作り展開しているクリエイターや運営者に敬意を込めて侵害しないように気をつけましょう。